【コラム】懸垂

今回の「できるかな?」は、トレーニングの王道〝懸垂〟である。
しかしながら、最近では、鏡で見える大胸筋や上腕二頭筋ばかり鍛えたがる傾向が強くなり、
その地位が揺らいでいるようだ。
鉄棒さえあればできる懸垂。体の後ろもしっかり鍛えて、
バランスのとれた強靭な肉体をゲットしよう!

今回の「できるかな?」はずばり懸垂です。
私はトレーニングの中でも3本の指に入るほど大好きな種目です。
可動域が広いので見えている景色がぐんぐんと変わるので楽しいです。
「燃えよドラゴン」のブルース・リーの背中に憧れて、高校のときは
授業の合間の10分休みに体育館にある鉄棒まで走って行って懸垂しまくっていました。
日課は500回! その後は回数を重ねるのに飽き、加重にはまりました。
ジムに行くお金がないときは、公園にプレートを持ちこんで加重懸垂をしていました。
現在は自宅にラックがあるのでいつでも懸垂できて幸せです。
最高記録はチーティングで100キロ加重5回。目指せ200キ口加重!
ところが、残念ながらジムでも懸垂をしている人はあまり見かけません。
鏡で見える筋肉の大胸筋や上腕二頭筋ばかり鍛えたりと、偏ったメニューになりがち。
普段鍛え忘れていることが多い背中を一度に刺激できるのが懸垂です!
普段ベンチプレスで使われる大胸筋や上腕三頭筋の拮抗筋である広背筋や
上腕二頭筋を鍛えることによってベンチプレスの伸びも上がるでしょう(拮抗筋は
片方だけトレーニンクしていると怪我につながったり、成長の妨げになりますよ)。
皆さんも懸垂の魅力にはまって、鬼のように割れた背中をゲットしてください!

<写真①の説明>
ラットプルダウンは下肢を固定して、バーを引き下げる

実施に当たっての留意点

懸垂はチンニングやプルアップとも呼ばれます。
動作は簡単ですが、負荷が強い運動法で、自分の体重が重りとなります。
ラットマシンのように自重より軽い負荷に調整できないため、
体重が重い人ほど難易度は増します。
懸垂で使われる筋群は、広背筋、僧帽筋、大円筋、大胸筋、三角筋、上腕筋、
上腕二頭筋、前腕、握力などで、口ウイングやカール、リアレイズなどで使われる筋肉を
一度に刺激することができて時間的にも効率がよい種目です。
グリップ幅によって重点的に効く部位が変わってきます。
さまざまな手幅で行うことによって、発達が偏ることなく背中の全体的な発達を促すことが
できるので、好きなやりやすいものだけではなく、これから紹介するいろいろな
懸垂にチャレンジしてみてください。
ディップス(前号紹介)と併用することで、上半身の筋肉は多数の人が望むだけの筋量が
得られることでしょう。

ラットプルダウンとの違い

ジムでも人気のマシンです。似た動きの懸垂ですが、
ラットプルダウンは下肢(膝)を固定し(写真①)、バーを引き下げるのに対し、
懸垂は固定された棒に体を引き上げるものです。
ラットプルタウンだとさまざまな筋群が関って体幹を反らすことによって、
デッドリフトのようにハムストリングスや脊柱起立筋、臀筋などの
大きな筋肉を使うことができるので簡単に高重量を引くことができます(写真②)。
懸垂の場合は足や腹筋を使ったテクニックもありますが、純粋に背中の筋力になります。

ストラップの有無

背中強化が第一義なら必須です。ストラップを使わないと、
握力IIV背中になるので握カが背中の発達の足を引っ張ることになります。
そして、前腕の関与が減るので背中を意識しやすくなります。

<写真②の説明>
ラットプルダウンは体幹を反らすことによって、ハムストリングスや
脊柱起立筋、臀筋などの大きな筋肉を使うことができるので簡単に高重量を引くことができる。

「できるかな?」 ベーシック編

①順手
順手で行うと上腕の関与が減り、背中の使われる割合が多くなります。
二頭の力発揮が弱いので、逆手に比べると難易度は高いです。
特に広背筋の発達を促します。

②順手(ワイド)
ワイドで行うとトップでの収縮感が強くなります。
二頭筋の関与が減り、より広背筋狙いとなります。
特に肩への負担が大きいので気をつけましょう。

③パラレル
両手を向かい合わせたグリップです。
ここでは専用の器具を利用していますが、バーをオルタネイトで握ってもできます。
前腕の関与が少なく、上腕筋も強い力発揮ができ、
大胸筋も強く使われるので大きい力が出ます。
主に、広背筋、大円筋、大胸筋下部、上腕筋に効きます。

④逆手
逆手で行う場合がもっとも可動域が広くなります。
広背筋も適度にストレッチされ、力発揮に適したグリップです。
上腕二頭筋の発達を促します。
前腕を回外させるので手首への負担が大きいので要注意。

⑤ビハインドチンニング
一般的な懸垂がバーの前にあごを引きつけるのに対し、バーを首の後ろに引きつけます。
順手で肩幅程度のグリップでバーを握り、体を丸めながらバーに首の後ろを引き付けます。
肩甲骨が寄るので広背筋より僧帽筋中部・下部、大円筋、三角筋後部、
僧帽筋中部・下部がよく使われます。
肩、肩甲骨周りの関節、首の柔軟性が低いと動作が行いにくかったり、
他の部分で代償して怪我につながったりするので、ストレッチで柔軟性を養ってから行いましょう。

⑥斜め懸垂
小学生、女性の体力測定などでもおなじみの種目です。
足を地面につけて行う普通の斜め懸垂より、負荷を高めるやり方を紹介します。
背中の種目は「自分の体に対して頭上からひきつける」と
「水平に引く(ベントロウやロープーリーなど)」の二種類に分かれます。
①~⑤は前者で、斜懸垂は後者の種目になります。
順手、または逆手でバーを握ります。(順手だと肘の軌道が外に開く形、
逆手だと脇を閉めて体に引き寄せる形になるため、筋肉の使われ方が大きく違います)
適度な高さの台か、人の肩に足をかけ、バーに対して体が水平になるようにします。
静的に体を収縮させ、体が折れないようにして、バーを体に引きつけます。

「できるかな?」 懸垂チャレンジ上級編

スターナム

バーにみぞおちを引きつける懸垂です。トップで水平に近い体勢になります。
難易度の高い懸垂ですが、非常に効果の高い種目です。
他の懸垂で筋力をつけ、チャレンジしてみてください。
コツとしてはアゴをあげ、上体を反らすこと。逆手でも順手でもよいですが、
順手のほうが難しい種目です。

ゴリラ

脚を伸ばして90度に保った状態で行う懸垂です。
腹筋や大腿の筋肉も使います。直接的な筋肥大狙いではないですが、遊び心もいれた楽しい種目です。
ツイストしながら行えば外腹斜筋の強化にもなります。
競技においては全身を連動させて体を使うことも大事です。
しかし、ある部位は動かして、ある部位はアイソメトリックな収縮をしながらその姿勢を保つ状態があります。
この種目はその練習にもなります。

加重懸垂

専用のディッピングベルトや丈夫な帯などを利用してプレートやケトルベルを加重します。
私は柔道の帯を使っています。
腰と重りをできるだけ密着させ邪魔にならないようにして行います。
普通のチンニングスタンドやぶらさがり健康器では耐加重が低いので、
丈夫な鉄棒やラックで行いましょう。

※プレート合計が100キ口程度になると、20キロプレートではかさばるので、
30キロプレートを数枚利用するとやりやすいです。

腰と重りをできるだけ密着させてから行う

注意点
脱力してぶらさがらないこと!
肩の傷害を引き起こすのはプレス系だけではなく、懸垂が原因となることもあります。
注意すべきなのは、ボトムポジションで肩を脱力してストレッチさせる行為などです。
その場で痛みは感じないかもしれませんが故障につながります。
これは、可動域を狭めて懸垂を行うといっているのではなく、
ボトムポジションで筋肉の緊張を解くなということです。

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