【コラム】ジム内ヒエラルキーの根源

ベンチ大好きトレマガ読者の皆さま、こんにちは。「ユーのベンチプレス、何kg?」。トレーニングしていると話題に上ったり体を見て挨拶代わりにしばしば聞かれたりする質問。

これ、結構困ります。何でか、って?いや、ベンチ強くないんですよ。もはやコンプレックスです!以前は見栄を張って重いのでやってましたけど、巨乳にならないから割り切ってバーベルベンチ外しました。軟弱な山田崇太郎です。

 

 

現実的なのはMAXよりセット重量

トレーニーの間でも、バロメーターと捉えられることが多いベンチプレスは、フリーウエイトで一番人気の種目。一般的なスポーツジムでは100 kgが挙がれば力持ちですが、ゴールドジムだと140kgくらいでセットが組めるようになって、やっと力強い部類になれます。ちなみに、力持ちの外人さんがクスリあり、ギアあり、何でもありのベンチプレスで500kgを挙げていました(公式なものかはわかりませんが、動画があります。スト口ング!)。

あと、アスリートのベンチプレスの記録を見て「この体で(=しょぼい)、マジかよ!」と思ったらフルレンジじゃない。これ、あるあるです。アスリートの体脂肪率と50m走・ベンチプレス・スクワットの記録の自己申告制は、お願いだから一般人の誤解を強めるの で控えていただきたいものです。やたらと体脂肪率1桁がいたり、実際に持った重量ではなくRM換算表で計算した記録だったり…。1RMって、一般的なボディビルトレーニングではあんまり行わないですよね。よく考えたら、自分の今のベンチプレスのMAX、把握してません。まあ、MAXよりもセット重量を聞くほうが現実的です。

単純な価値観で、重いベンチプレスが挙がったほうがえらい、というジム内のヒエラルキーが存在することがあります。あるいは筋肉量があるほうがえらい、とか。似たようなもので、格闘技ジム内にも強い弱いでヒエラルキーが…困ったモンです。一般社会では通用しないのに。

前回の「突撃!隣の盛りマッチョ」に登場した、筋肉アイドル〝れいたん〟こと才木玲佳。顔はアイドル、体はマッチョ、というギャップがハンパない彼女のキャラクター。画として欲しがられる筋肉アピールといえば、ベンチプレスやデカい男性を持ち上げるといったもの。わかりやすいですからね。一般の人がトレーニングから連想する力持ちのイメージは、ベンチプレスがアームカールの2択でしょう。ところが、れいたんも私も見た目から期待されるほど挙がらないんです。胸のトレーニングは好きだけど。

れいたんは力こそ強いのですが、ベンチプレスはそんなに重いものを扱えません。私くらいの人間を持ち上げるのは軽々ですが。れいたんいわく「腕と三角筋は強いけど、胸が強く ないから挙がらない!」。うん、こんなことを言うアイドル、なかなかいません。

私のクライアントでもあるれいたんのプログラムに、そもそもベンチプレスは入っていません。特異性の原則よろしく、ベンチプレスをやらなきゃベンチプレスは挙がらない。でも、彼女のトレーニングの目的はK-1やプロレスで役立つ機能的な体づくりと、アイドルとしての体づくり(もちろん、一般的なアイドルとはかけ離れています)。ベンチプレスをしなければならない理由はない。それに、私自身はBIG3を重視する昔ながらの思考ですが、それがベストではない人もいます。とはいえ仕事としての需要があるので、れいたんに関しては、今後、ベンチプレスの〝練習〟をしていこうと思います。トレーニングではなくて練習、です。

 

 

パワーリフティング式フォーム導入のススメ

体づくりにおいては、ベンチプレスがベスト種目なのか?そこは個人差が大きいでしょう。なかには漠然とベンチプレスをやり込むだけで、完璧な大胸筋をつくり上げる人もいま す。一方で私の場合は、多種目を行うことで大胸筋が発達しました。大胸筋を含めた体づくりを目的としたトレーニングを行う上で、重量を扱うことは体づくりとイコールなのでしょうか?もしそうならば、その方向性で進んでいけばいいし、そうでないのなら別のアプローチを視野に入れるべきです。

体づくりにおいては極論、ベンチプレスを挙げることが上手になっても仕方がないと思います。全身に負荷を分散させて高重量を扱うよりも、大胸筋や上腕三頭筋をアイソレート させて、適正重量でトレーニングしたほうがいい。体が丈夫な人は別ですが、同じ効果が望めるのなら無駄に重量を扱わないほうがいいと思うのです。特に中高年のトレーニー。

好例となるのが、ヘビートレVSインテリトレ。これはロニー・コールマンとジェイ・カトラーが対照的です。ロニーは男らしい超ヘビーウエイトでトレーニングし、モンスターのような体をつくり上げて世界の度肝を抜きました。ただし、その代償として現在は人工股関節になるなど体は満身創痍。対するジェイは、体はモンスターですがトレーニングは賢い印象。ロニーと比べると迫力に欠けますが、ジェイは引退するまで一度も大きなケガをすることなく選手生活を終えました。

このことから、一般的に受け入れられるボディメイクの方法論はインテリトレ、つまりジェイのほうだと思うのです。価値基準はさまざまだと思いますが、ケガをする覚悟がある人 はいても、ケガを望む人はいないでしょう。パワーリフターや力持ちになることが目標でなければ、ベンチプレスで重量を扱うことよりも、ベンチプレスが挙がりそうな体を目標にするのがいいと思います。

大体、女の子の前でベンチプレスを見せつけられる機会って、なかなかないですから。ドヤ顔しながら彼女にトレーニング指導するカップルくらいでしょう。全然うらやましくない(ひがみじゃありません)!それよりも、大胸筋がデカいほうが合コンで目立ちます。あ、言っときますけど、目立つだけでモテる・モテないには直結しませんよ。

…と、極端な話になってしまいましたが、トレマガ読者の場合は「いい体になりたいし、ベンチプレスもそこそこの重量を扱いたい」という人が多いのかもしれません。であれば、一度パワーリフティングのフォームを導入することをお勧めします。ブリッジを組んだからといって、劇的に挙上重量が伸びるわけではありません(ケツ上げは別です)。

え?ブリッジでそんなに変わらないのなら、どうしてパワーリフターはあんなに高重量が扱えるの、って?それは、パワーリフターは強くなるトレーニング法を知っているから。一般的なプ口グラムは筋肥大に重点を置いていますが、パワーリフターは神経系の開発やフォーム練習に時間を割きます。地力をつけるトレーニングももちろん行いますが、パワーリフターにとってベンチプレスは、「トレーニング」ではなく「競技練習」なのです。

例えば野球では反復練習を行います。ベンチプレスだって反復練習が大事。強くなるためには、ケガをせずに筋力を伸ばすプログラムとフォームを身に付けることです。ネットで調べてもよし、期間を決めてパワーリフティングのジムに通ってみるもよし。筋力が伸びて、扱える重量も伸びれば、ボディビルのトレーニングに戻ったときに強度の高いセットが組めるので、筋肉づくりにも決して無駄ではありません。

 

 

 

ボディメイクの観点からいえば、ベンチプレスでは重量を扱うことよりも、ベンチプレスが挙がりそうな体を目指すのがいい。

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