【コラム】筋肥大&筋力アップトレーニング強度

先日の飲み会での話。「私、すぐに筋肉ついちゃってムキムキになるのが悩みでさ~。どうやったら筋肉落とせるかな?」と、自称・バルク派だけど見た目・ぼっちゃり系の女の子に言われました。ポジティブすぎる勘違いをする彼女をそこから連れ出し、体組成を測定して

「キミはただ太っただけだ」と現実を突きつけてやりたい欲求に駆られた山田です。こんにちは。今回のお題は「トレーニング強度」です。トレーニングをしている皆さんの目的はさまざまかと思いますが、トレマガ読者に多いであろう「筋肥大」と「筋力アップ」を前提に話を進めていきます。

 

 

1RMだけやり込んでも筋肥大効果は薄い

トレーニングをどのくらいのボリュームで、どのくらいの強度で、どのくらいの頻度で行えばいいのか?

これらの疑問に対して「コレ!」という絶対的な答えはないでしょう。昔に比べればトレーニングは科学的に解明され、その方法論も明確になりました。しかしながらそれはあくまでも日安で、個別性はあります。トップビルダーのプログラムも一様ではないですし、その時々の基準で理想のカラダはあっても、そこにたどり着くまでの道のりやアプローチはさまざま。そこがボディビルの面白い点だと思います。

さて、トレーニングの強度って何でしょう?言葉が独り歩きして心拍数を指標とした強度や主観的運動強度(追い込み具合)といったものが混同されている気がします。

一つは最大挙上重量を基準とするものがあります。〝RM〟で表記され、決まった重さに対して何回反復運動できるかで強度を決める方法です。1回が限界の負荷を1RM、最大で8回反復できる負荷を8RMと表します。RMの数字が小さくなれば強度は高く、多ければ低くなります。強度が高いほうが効果はありそうですし、それなら1RMで行えばいいのかというと、筋肥大においてベストの方法ではありません。「8~10RMが筋肥大や筋力アップに効果的」と耳にしたことがあると思います。15回以上の高回数だと持久力にいい、みたいな。このあたりは省略します。TUT(タイムアンダーテンション/筋の緊張時間)やトレーニングのボリュームも重要なファクターになりますので。

結論からいうと、1RMは筋力向上には効果的ですが、TUTが短すぎて筋肥大には効果的でありません。もちろん筋力が伸びれば8RMで扱える重量も伸びるので、結果的に筋肥大にもプラスの影響があるでしょう。ただ、1RMだけやり込んでも筋肥大効果は薄いということです。高重量を扱うにはリスクもあるので、ケガや古傷を抱えていると行いにくいケースもあるでしょう。その場合はスロートレーニングやGVT(ジャーマンボリュームトレーニング/20RMの重量で10回10セットを完遂する方法)など、比較的軽重量で行うのがいいと思います。

一方、多数派を占めるボリュームトレーニングの対抗馬ともいえるヘビーデューティートレーニング(以下、HDT)で有名になった高強度トレーニング。ネガティブ法やフォーストレップス法、プレイグゾースト法、レストポーズ法などさまざまなテクニックが知られています(ここで指す高強度は必ずしも高重量とイコールではない)。いずれも生理的限界まで追い込むものですが、1セットで本当にオールアウトするのは技術的にも精神的にも難しい。インターバルを挟めばできてしまうのはHDTではありません。大体は肉体的限界の前に精神的限界がくるので、よほどの覚悟がないとできないでしょう(かの有名なコロラド実験は、ジョーンズ博士がケイシー・ビエターに拳銃を突きつけて追い込んだとの逸話があります。そのくらいの気持ちで取り組むもののようです)。

 

 

負荷をしっかりのせれば目的の筋への刺激は高まる

そもそも、毎回追い込めば筋肥大やパフォーマンスアップにつながるかといえば、そうではないと思います。ダイエットならばある程度順調にいくでしょうが、筋力の伸びや筋肥大はあるところで頭打ちになり、停滞する方も少なくないでしょう。単純にフォームや意識性、可動域を崩さずに重量を伸ばすことができれば筋量も伸びていきます。ただ、ちょっと重量を伸ばすと、フォームが崩れたり可動域が狭くなったりと、簡単にはいきません。

筋肉づくりが目的なのであれば、負荷を分散させて重量を挙げるよりも、しっかりアイソレートさせて目的の筋肉に負荷をのせるほうが単一の筋肉への刺激が高まります。バーベルカールなら、肘を固定して行うほうが上腕二頭筋への刺激としては効果的。ダイナミックに振り回せば達成感や疲労感はあるでしょうが、そこは全身疲労を求めるよりも上腕二頭筋をキッチリ疲労させましょう。

スクワットも一緒です。背中や全身を使って挙げる意識で200キロを扱うより、大腿に効かせる形で120キロを扱うほうが、脚への筋肥大の刺激としては効果的な場合もあります。私自身の経験からも、200キロのフルスクワットをがむしゃらに行っていた頃より、使用重量を落とした現在のほうが、大腿は発達しています(レベルの低い話ですみません)。「有名選手がDVDではカラダを振ってバーベルカールしてるじゃん!成功者のマネをすればOKじゃないの?」と私も安易に考えていましたが、腰が痛くなるばかりで腕は一向 に太くなりませんでした。トップビルダーのバーベルカールは、一見するとカラダを振って重量を振り回しているように見えますが、トップやネガティブでキッチリ負荷をのせています。トレーニングが上手なんですね。

普通は扱えない重量を、チーティングを使って強いネガティブ(ポジティブ動作の1.5倍)で耐えれば、強烈な刺激を得られます。ただしウェイトトレーニングの基本はストリクトで行うことなので、停滞したときの変化や追い込みテクニックの一つとして上手に取り入れましょう。

 

 

いかなる強度においても〝努力〟が必要

そのほか、速度も重要なファクターです。例えばスロートレーニングのように負荷が抜けないようコントロールすることで、慣性で負荷が抜けるムダを省きます。筋の緊張時間が30~70秒程度維持されるようにすると、より筋肥大に効果的です。

インターバルも大事。筋力が回復するまでしっかり休むのか、ジャイアントセットみたいに詰めてやるのか。これも目的に応じて調整します。ショートインターバルの場合は心肺機能も関わってくるので、心筋も鍛えておきましょう。

また、主観的強度と実際のトレーニング強度とは異なるものですが、ここは頑張らないといけません。限界まで反復したときとそうでないときとでは、トレーニング後のタンパク合成に差が出ることが実験で明らかになっています。ちなみに、低強度(30RM)でも限界まで反復すれば、高強度のときと同程度に筋肥大効果があるそうですが、体感的には10RMのほうが楽でしょう。

それから慣れの要素も大きいです。回復力、つまりトレーニングへの適応力が上昇します。ウエイトリフターなどは週5~6回、1RMや2RMの高重量のスクワットやデッドリフトを行って記録を伸ばします。これには神経系やバーベルを扱う技術的な向上も含まれています。自衛隊体育学校のウエイトリフティングでは、神経系へのアプローチを考えて30分のトレーニングを1日6回行うそうです。目的が違えばそのアプローチも違ったものとなります。上記はウエイトリフティングのための筋力アップの方法論ですが(もちろんそのなかにベースとしての筋肉づくりの要素もありますが)、参考になる部分はあると思うので、賢く取り入れてみてください。

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