【コラム】アスリートの減量 後編

前回に引き続き、アスリートの減量について。ただし、今回は階級制の競技に特化した減量テク(第2段階)なので、あくまでも参考程度にお読みくださいませ~。

 

 

第2段階は、アスリートならではの減量テクニック――計量直前に水分を抜く作業です。これは計量をパスするためのテクニックであり、階級制の競技に取り組んでいる方以外必要のない技術です。

 

水抜きダイエット法

まず、第1段階で目標数値までしっかり体脂肪をコントロールして代謝の高い身体を作っておくことが大前提となります。人間の身体は60%が水分で構成されています。この水分を、一時的に減らして計量をパスするのですが、脂肪はそのうち20%が水分、筋肉は70~80%が水分とされています。そのため、筋量のある外国人選手などは日本人と比較して水抜きの幅が大きく、8~13kgといった体重を計量前の1日で落とすこともあります。

水抜きの方法としては、厚着をして運動をしたりサウナに入ることで発汗を促します。これを1~3時間行うことで2~5kgは落ちます。

そんな短時間で落ちるの?と疑問に思う方もいるでしょう。落ちるんですねぇ~、これが。

体脂肪コントロールで代謝を高く維持して、普段から水をよく飲み、汗をかくという循環のサイクルをつくっておくのです。そして水分を入れる行為を一時的に止めても、水の循環を習慣として覚えている身体は危機だと感じず、いつものように水を排出します。そのタイミングで計量するようにするのですね。

これが常日頃から水分を減らしていたり、サウナスーツを日常的に着ていたりすると、身体はどうなってるんだ?危機がくるのかな?と疑心暗鬼になり、身体から水を出さないように溜め込むクセがついてしまいます。こうなると、何をしても落ちないキツイ減量になってしまうのですね。

したがって、普段から意識して水分を多めにとることで、汗や尿など排出も多くなり、水はけのいい身体にしておくのです。出し入れしてしっかり循環させる。これを身体に覚えさせましょう。

さらに水を飲むことで、食欲の抑制や代謝の上昇など多くのメリットがあるので積極的に水を飲むようにしましょう。ただ、頻尿に悩まされたり、水中毒というものもあるので、やりすぎには注意しましょう。

 

イオンバランスを考えて!

あらかじめ余分な脂肪を除く作業以外にも、水抜き当日を迎えるまでにやっておくことはいくつかあります。これを知っているだけでも調整ミスの確率は大きく減ることでしょ う。

計量の4日くらい前から塩分を控えてカリウムを多く摂取します。ポカリスエットのCMで「水よりも人の身体に近い水」というフレーズを耳にしたことがあるかと思います。

人の体液はイオンバランスといってナトリウムだったり、さまざまな成分で構成されていて、ただの水ではないのです。ポカリスエットは、そのイオンバランスが体液に近い構成なので、CMの「水より…」となるのですね。

そのイオンバランスによって身体の水分量は保たれていて、ナトリウム=塩分は身体に水分を溜め込み、カリウムはナトリウムと拮抗する作用があるので、余分な塩分を身体か ら排出してくれるのです。

塩分を多くとると、むくみますよね。水抜きでは、その逆の状態を作っていきます。したがって、そこまで減量幅が大きくなかったり、水抜きにチャレンジしたことのない方は、味付けを薄めにして果物や水分を多めにとるくらいでいいかと思います。塩分が足りなくても、筋肉の痙攣などさまざまな副作用が生じますので、その危険性も認識しておいてください。

すなわち、日常的に塩分をカットしてはいけないということ。ナトリウムも身体にとって必要不可欠なミネラルですし、あくまで普段とのギャップが効果を生むのです。

 

 

最後は根性!?

体内の水分量を司るシステムの1 つとして、アルドステロンやパゾプレッシンというホルモンがあります。このホルモンが働くと、身体に 水分を溜め込もうとします。

身体の水分量が減り始めてから、このホルモンが働くまで24~48時間ほどあります。身体への負担と、このホルモンの働きも考えて計量前日、または計量の数時間前から水抜き作業を開始します。

後述しますが、計量後にはリカバリーという作業が待っています。身体への負担もリカバリーの面でも、脱水している時間は短ければ短いほどいいので、できるだけ計量直前の一瞬だけというのが理想的です。

そして2日前から食事の嵩(かさ)も意識してコント口ールしていきます

胃の中に入っている食べ物や便なども重りとなります。食事を抜く、軽くするだけで1~2kg減、便で5 00~800g程度は落ちるでしょう。水抜き後は、便の水分も抜けて便秘になりやすいので、水抜き前にしっかりと排便しておくとよいでしょう。

サプリなども活用しながら、この2日間を乗り切りましょう。そして水抜き前日から今まで多めにとっていた水分をカットします。入ってくるものをカットしても、今までの習 慣で身体は出し入れのサイクルを覚えているので、変わらず尿や汗は排出されるんですね。いわば脳をだますわけです。

計量前日に少量のアルコールをとるのも効果的。お酒を飲むとトイレが近くなりますよね。あれはアルコールがバゾプレッシンの働きを抑えるからなのです。

計量当日の水抜き本番。後はやるだけです。心拍数を上げると発汗しやすいので、最初に息を上げるといいでしょう。最後は科学だけじゃなく根性です。

 

リカバリー法

最後にリカバリーについて説明します。

階級制というものは、公平性を期すために作られたものですが、計量から実際の試合までは数分から1日 ほどのタイムラグがあります。試合に勝つ確率を引き上げるために「相手選手より体格で上回る」というものがあります。

失った水分をすぐに補給することで、水抜き前の体重に戻します。

いわゆるリバウンドを利用することで計量時より2~18kgくらい体重を戻します。水抜きをしていない選手は、このリバウンドがない分、体格で不利になるわけです。

この時に飲むのは、純粋な水よりポカリなどのほうが身体に吸収されやすいのでお勧めです。選手の間ではOS-1という経口補給水が流行っています。これは〝飲む点滴〟とでもいうもので、電解質のバランスなどが優れています。薬局で手に入ります。

あとはエネルギー源となる炭水化物をとるのがよいでしょう。減量で内臓に疲れもでるので最初は消化によいお弱や餅、うどんなどがよいでしょう。

 

アスリートになればダイエットも簡単!?

アスリートの減量をそのまま取り入れても、成功することは難しいでしょう。アスリートにとっては普通の練習量ですが、一般の方では体力や回復力が追いつかない、などの要因もありますが、アスリートと一般人との最も大きな違いは、減量に明確な期限がある、落とさねばならない義務がある、ということです。

ダイエットで失敗する方の成功するヒントは、ここに隠されているのではないでしょうか?例えば、周囲にダイエットを公言するのも、義務感が発生してダイエットの成功につながりやすい簡単な方法です。

私からの提案としては、ぜひ読者の皆さんに格闘技を始めることをお勧めします。そして試合に出ましょう。計量もあるので義務感も期限もバッチリ生じます。

でも、格闘技って痛そうだし、怖いイメージ…。でも、不安はご無用。実は敷居は低いのです。打撃や関節技のない安全性に配慮したものも増えており、初心者のみの大会も多く開催されています。

試合が決まれば、練習量も増えます。楽しむことが目的であっても、熱が入るものです。もちろん、勝ちたい気持ちも生じることでしょう。そうなればしめたもの。運動量が増えて、みるみる体脂肪も落ちてきてダイエットも成功。試合の勝敗なんかより大事です。

皆さんが各々の目標を達成されて人生の勝者となることを願っております。

そんなわけで、皆さんもアスリートになってしまいましょう!

 

アスリートと一般人との最も大きな違いは、減量に明確な期限がある、落とさねばならない義務がある、ということ。

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